ウクレレの製作方法を九頭竜ギター工房アルバイトのアルパカくんが紹介するコーナーです。
「自作のウクレレを作ってみたい!」という方の参考になるように、アルパカくんがイラストを交えながら解説しています。
トップ&バック板製作
まずはウクレレのトップ板とバック板の製作方法の説明です。
トップ板とバック板の製作には、主に以下の工程があります。
- ブックマッチ
- ロゼッタ作成
- ブレーシング接着
- ブレーシング成形
それぞれ詳しく説明していきます。
トップ&バック板ブックマッチ
まずは、トップ板(表板)とバック板(裏板)をブックマッチします。
ブックマッチというのは、1枚の板を本を開くようなイメージで挽き割って、2枚の板にして真ん中でくっつけること。

丸太からバームクーヘンを切るように切り出したのがこの状態です。

それをさらに真ん中で挽き割って、木目が左右対称になるようにします。
こうすることで、音の伝達が左右で均等になり、木目も左右対称になるので見た目も綺麗です。
ウクレレの場合、ブックマッチをせずに、1枚の板で作る場合もあります。
1枚の板で作る場合は、その分大きな木が必要になるので、貴重な木材だと高価になってしまうことも。
ブックマッチをするためには、接着面をまっすぐにする必要があります。

このようにカンナを使って、接着面をまっすぐにしていきます。サンドペーパーを使ってまっすぐにするのもいいです。
接着面がまっすぐになったら、タイトボンドを塗って接着。

ぼくはこのように真ん中をクランプして、左右の板の上におもりをのせるかクランプをして板がたわまないようにしてから、くさびを打って接着面を密着させます。
ブックマッチはいろんなやり方があるので好きなやり方でいいと思います。
バック板も同じ要領で接着してください。
次の日にクランプをはずしてブックマッチ完了です。
トップ切り出し・ロゼッタ製作
ブックマッチがうまくいったら、ウクレレの形に切り出します。
バンドソーで切るのが楽ですが、糸鋸でもできます。
綺麗な曲線である必要はないので、普通のノコギリで何回かに分けて切ってウクレレの形に切っていくのでもオッケーです。
いずれにしても、本来の形よりも少し外側を切りましょう。

ウクレレの形に切れたら、サークルカッターを使うための穴をドリルで開けます。

サークルカッターでロゼッタ(サウンドホール周りの飾り)の内側と外側のラインを切ります。
いきなり目的の深さに切るのではなく、少しずつ深くしていくのがコツ。
特にスプルースなどの針葉樹を使うときは慎重にやらないとささくれてしまうので注意です。
ラインが切れたら線と線の間をノミで掘っていきます。
メイプルなどの硬い木材を使うときは大変ですが、慎重にやれば大丈夫です。

溝が掘れたらロゼッタを埋め込みます。
ぼくはロゼッタの種類や木材の種類によって接着剤や接着の仕方は変えますが、タイトボンドや瞬間接着剤を使います。
接着剤が乾いたらサンドペーパーでロゼッタ部分と全体を綺麗にします。

トップ板の厚みを整えて、サウンドホールの穴をサークルカッターで開けます。
トップブレーシング製作
サウンドホールが開けられたらブレーシング(力木)の接着をします。
ブレーシングというのはウクレレの内側に貼ってある木の棒のこと。
ウクレレのトップ板(表板)とバック板(裏板)は厚みが2ミリ以下なので、そのままでは弦の張力に負けて簡単に割れてしまいます。
なので、木の棒(ブレーシング)を内側に貼って補強します。
また、ブレーシングは補強のためだけでなく、音の伝達のためにも重要なものです。
ブレーシングの配置や削り方・材によって音をコントロールできるので、製作家はブレーシングを工夫したりします。

ブレーシングの接着にはニカワかタイトボンドを使います。
ニカワは、バイオリンの製作などに古くから使われている接着剤で、扱いが非常に難しい接着剤。
湯煎をして使用するのですが、素早く作業をしないとすぐに固まってしまい、接着不良を起こしてしまいます。
しかし、固まると非常に強固に接着されるのと、熱を加えると剥がすことができることから、修理を繰り返しながら使う前提のバイオリンの製作に昔から使われています。
固まると本当にカチカチになるので、音の伝達にも優れているという見方もあります。
タイトボンドは、ボンドなので扱いは非常に簡単で、接着も非常に強固です。
多くの製作家に愛用されている接着剤で、接着力は間違いなく、安心して使用できます。
接着がきちんとできればどちらを使ってもいいですが、音にダイレクトに影響する部分なので、ぼくは基本的にニカワを使っています。
ニカワとタイトボンドでは、音は変わらないという人もいますが、固まったときの質感が違うので変わらないということはないとぼくは思います。
また、MartinやGibsonなどのメーカーも、高級ラインでは接着材にニカワを使っています。
音が変わらないのであれば、わざわざ手間のかかるニカワを使わないはずです。
ただ、接着が上手くできないと本末転倒なので、工作精度が上がってからじゃないと、ニカワは使わない方が無難です。
接着の固定はクランプを使って固定してもいいですし、ゴーバーという突っ張り棒みたいなものを使って固定する方法もあります。
ゴーバーはこの後の工程でも使えるので、あるととても便利です。

枠の部分は木で自作できますが、ぼくはスチールラックを使っています。スチールラックだと高さを自由に変えられるので、気に入っています。
バーは竹を使ってもいいですが、農業用のポールが折れることがないので非常に便利です。
ゴーバーかクランプでブレーシングが接着できたら、ブレーシングの形を決めます。
ブレーシングの削り方も重要で、断面の形が三角なのか丸なのかでも音と強度が変わります。
ギターでいうと、Martinは断面が丸っぽくて、Gibsonは三角っぽい形です。
断面の形が削れたら、両サイドを端になればなるほど薄くなるように削ります。

一通りノミで削れたらサンドペーパーでブレーシングの全体を整えてブレーシングの工程は終了です。
音作りのやり方は製作家によって様々で、トップ板をタップしながらタップトーンを確認してブレーシングを削っていくやり方や、削ったブレーシングを貼りつけるやり方などいろいろあります。
ボディを組み上げてからタップしてトップ板を削っていく方もいたりします。
音作りに関しては、何本も作っていく中でしかわからないこともあると思うので、最初は見よう見まねでやってみましょう。
バックブレーシング製作
バックのブレーシング接着です。
トップのブレーシングと同じく、ニカワかタイトボンドを使って接着していきます。
エポキシを使う製作家もいたりします。

バックはラウンドさせたいので、ブレーシングの両端を削って、接着面が曲線になるようにします。

サンドペーパーで綺麗にしてから、バック板にブレーシングを接着します。
接着はゴーバーでも良いのですが、接着面がラウンドしているので、工夫が必要です。
クリップで両端を固定してからゴーバーを使って押さえつければ、アールがきつくなければ大体はうまくいきます。
アールがきつい場合や難しい場合はクランプで固定しましょう。
また、ブックマッチしてあるバック板には、真ん中の継ぎ目に補強をつける場合が多いです。
つける場合はブレーシングを接着する前に、ゴーバーで接着します。
ブレーシングが固定できたら、トップの時と同じように、ノミを使ってブレーシングを削ります。

あとはサンドペーパーを使って整えればオッケーです。
バック板のブレーシングを接着したら、早めにボディを組んでしまう方がいいです。
ブレーシングで裏板にアールをつけているので、アールが戻ってしまわないようにするためです。
ですので、バックのブレーシング接着はサイドも曲げ終えて、ボディを組み上げる準備が整ってからやるようにするといいかもしれないです。
サイド製作
次にサイドの製作工程を説明していきます。
サイドの製作工程には、主に以下の工程があります。
- サイド厚み出し
- ベンディング
- ネックブロック・エンドブロック製作
- サイド組み立て
以下詳しく説明していきます。
サイドベンディング
サイドのベンディング(曲げ)はウクレレ作りの醍醐味だと思います。
綺麗に曲げられた時はとても嬉しくなります。逆に板を割ってしまった時のショックはとても大きいものですが…。
まず、サイド板の厚さを2ミリ程度まで薄くします。カンナを使って削ってもいいですし、ベルトサンダーで削るのもいいです。
厚さが2ミリになったら、水につけてしばらく置いておきます。
都度霧吹きで濡らしながらでも曲げれますが、水につけておくとより安心して曲げれる気がします。風呂につけて置くといいです。
木を曲げるのには、熱と蒸気を使います。
ぼくはベンディングアイロンを使っていますが、やかんの蒸気で曲げている製作家の方もいます。

ベンディングアイロンが温まるのを待って、熱々になったら、アイロンに濡れた木を当てて、ゆっくり揺らしながら力を加えます。

カーリーが強い木は簡単に割れてしまうので、ゆっくり時間をかけて曲げていきます。
くびれの部分はなかなか大変ですが、ゆっくり力を加えながら曲げます。
最初は力の加減がわからなくて割ってしまうこともあると思います。なので、最初は高価な材は避けた方がいいと思います。
どのくらい力を入れれば割れずに曲げられるか、どのくらい熱に当てていれば曲げられるかは、何回か曲げていればわかってきます。
分かってきても油断せずに慎重にやらないと割れてしまうので注意しましょう。
枠に合わせながら、曲げて、合わせてを繰り返して、全体を曲げていきます。
曲げ終わった時に多少枠に合ってなくても、クランプして数日置いておけば、枠にピッタリ合います。
枠にあてがってクランプして数日置いておきます。

サイド組み立て
ベンディングが終わったら、ネックブロックとエンドブロックを接着して、サイドを組み立てます。
ネックブロックは、ボディ内部のネック側のブロック、エンドブロックはボディ内部のエンド側のブロックのこと。
注意点としては、ネックブロックはエンドブロックよりわずかに高さを短くする点と、ネックブロックの片面を斜めに切る点です。
また、ボディの形に沿わせて、サイドとくっつける接着面を整えましょう。
ベンディングが終わったサイド板は、必要な長さより長くなっているので、まず余分な部分を切り落とします。
切り落とした切口がまっすぐになっていないと、隙間が空いてしまい見た目がよくないので、切口をサンドペーパーなどでまっすぐにします。
ブックマッチの時と同じイメージです。
切口が綺麗になったら両方のブロックにサイド板を接着します。
タイトボンドを塗ってクランプします。
接着剤が固まったら、ライニングといわれるサイドとトップ&バックを接着するための、のりしろ部分をつけていきます。
ライニングにタイトボンドをつけて洗濯バサミで固定します。
注意点としては、バック側はネックに向けてボディの厚みにテーパーをつけたいので、つけたいテーパーに合わせてライニングを接着しないといけない点です。
少し難しいですが、ウクレレを横から見た時にボディの厚さが、ネック側にかけて薄くなっていくようにしたいということです。
接着剤が固まったら、サンドペーパーで余分な接着剤を取り除きます。
バック側はテーパーをつけた分、サイド材に余分な部分があるのであとでカンナで削ってしまうのですが、この段階ではそのままにしておきます。
これでサイドの組み立ては終わりです。
ボディ組み立て
トップとサイド、バックが出来上がったら、次にそれぞれを接着してボディを組み立てていきます。
ボディを組み立てる順番としては、
- トップとサイドを接着
- バックとサイドを接着
の順番で接着していきます。
製作家によってそれぞれ考え方はあると思いますが、先にトップとサイドを接着した方がゆがまずにボディを組み立てられます。
順番に説明していきます。
1.トップとサイドの接着
トップとサイドを接着する前に、トップのブレーシングがサイドのライニングに干渉していないかを確認します。
干渉していると、ボディとサイドに隙間が空いてしまって、うまく接着ができません。
干渉している場合は、ブレーシングの端の部分をノミかサンドペーパーで削ります。
また、トップ板の中心と、サイドの継ぎ目(中心)がピッタリ合わないといけません。
ぼくの場合はトップ板の端からマスキングテープで印をつけておくようにしています。
ネックブロックとエンドブロック、ライニングにタイトボンドを塗って、中心がピッタリあっているのを確認して、ゴーバーでクランプします。
2.バックとサイドの接着
バックとサイドの接着もトップとサイドの接着の時とやることはほぼ同じです。
ただ、サイドの組み立ての時にそのままにしておいた余分な部分をカンナで削る必要があります。
サイドの接着面が整ったら、バックのブレーシングとサイドのライニングが干渉していないかチェックします。
トップの時と同じですね。
干渉していないことを確認したら、トップの時と同じように、ライニングとネックブロック、エンドブロックの接着面にタイトボンドを塗ってゴーバーでクランプしましょう。
タイトボンドが固まったらボディが箱になります。
ネック製作
次にネックの製作について解説していきます。
ネックの製作は以下の手順で進めていきます。
- ネック材とブロック材の接着
- ネック材切り出し
- ネックジョイント
- 指板接着
- フレット 打ち
- ネック成形
以下、順に説明していきます。
1.ネック材とブロック材の接着
ネックはへの字に切られたネック材とブロック材のセットで販売されていることが多いです。
ですので、への字の木材とブロックを接着するところから始めます。
サンドペーパーなどを使って接着面を平らにして、タイトボンドを塗ってクランプします。
ボディとネックのジョイントをどうするかによって、どのくらいの位置で接着すればいいかが変わるので注意です。
今回は、ダボでジョイントする方法で説明するので、ジョイント部分で直角になる位置にブロックを接着します。
2.ネック材切り出し
への字の木材とブロックの木材が接着できたら、鉛筆で線を引いていきます。
中心線と、切断する部分の線を引きます。
線が引けたらバンドソーで切断していきます。
刃が折れてしまうといけないので、ゆっくり進めていくのがポイント。
ベルトサンダーやサンドペーパーで整えて大まかな形を決めます。
ぼくはこの段階ではネックのジョイント部分付近だけは、ノミなどである程度完成形まで削ってしまいます。


